【絵のこと】たのしく絵を描きたいという願いは、心の「かせ」をはずせばかなう

子どもの頃はただ思うままに夢中になって絵を描いていました。楽しかったし、嬉しかったし、面白かったし、誰に傷つけられることもなかった。もちろん自分で自分を傷つけることもなかった。

今私は50歳を過ぎているけど、子どものときよりずっとずっと不自由です。自分で自分の心に「かせ」をはめてしまっています。絵を描こうとすると色んな思いがわいてきます。

「絵が好きだとかいっているくせに、子どものときから何十年も経っているのに、ぜんぜん上手くなってない」

「まじめに描けば描くほど下手さがあらわになる」

「自分は上手に描けるようになれるわけがない。このまま死ぬんだ」

とか、色々、いろいろ。

でも何かおかしいですよね。ただ、思うままに描けばいいじゃないですか。きっと楽しいよ。なぜそうしないの?って思いますよね。

私はこの記事を書くことで、自分の心の「かせ」を取り除きたいと思っています。そして、もし、私と同じような重たい気持ちになっている人が少しでもラクになれたら、とても嬉しく思います。

この記事は「絵が上手くなりたい人」向けではないことをここでお断りしておきます。

私が楽しく絵を描けないのは、自分で「かせ」をはめているから

上手く見せようとしてる

絵を描いて仕事にできるとも思えなかったので、主婦をしたりバイトをしたりして生きてきました。

私は努力が嫌いなので、熱心に毎日スケッチをしたりデッサンを勉強したりはしませんでした。スケッチしてても集中力が持ちません。では作品をたくさん描いたのかというと、ノー、です。

技法書を読むことはできても実際に努力ができる人間ではありません。長期間努力を積まねばならないと想像すると異常な焦りと無力感を感じます。昔も今も

どうしても上手くなりたいと思っていたらその気持ちが勝ってるはずで努力もできたはずですが、私はそれほど上手くなくてもそこそこ適当に描ければいいやという感じでした。

それなのに。

そこそこ適当にすら描けない今の自分を、さらしたくない。と、見栄を張ろうとする自分がここにいます。そして今まで3Dでごまかそうとか色々やって失敗したので、もう張る見栄は残っておりません。

お金にしようとしてるけどうまくいかないから、自分はだめなんだと思ってる

私は昨年夏にパートをやめました。健康には自信がなくて、しばらく働くと体調不良になり退職、回復したらまたパートを探して…っていうのを繰り返していましたが、もうそんなことを続けられる年齢でもなくなってきました。

なので在宅でできることを探して、ストックイラストを始めました。少しでもお金になればと思ってのことです。

だけど、需要のあるものは何だろうと考えるのも、それを絵にするのも、自分にとってほとんど面白くない超苦手な作業です。テレワークの絵とか描いても楽しくないので描いてないし。上手くも描けないし。バリエーションなんてなんにも思いつかないし。

必然的に人物素材の登録数は伸ばせないまま、そしてほとんど売れないまま、苦手すぎて描くのが辛くなりました

単純に、凹んでます。自分はだめだなって。

自分の心の「かせ」を取り除かなくては前に進めない

これでもなぜ絵を描こうとしているかというと、私は現実逃避できる自分の世界が欲しいんです。逃げ場がなかったら、私はたぶんおかしくなります。生きていられないかもしれないです。

今までなんとかして生きてこれたけど、つぶれそうです。生きていくのは辛いです。

そろそろ、やばいのです。

「誰も見ない」と思ってみる

描いても大丈夫、誰も見ない。絶対誰にも見せないと思って一枚描いてみればいい。色々ささやいてくるもう一人の自分はぶん殴って眠らせておこう。

何も気にせずに、とにかく「一枚描きあげる」ことを課してみよう。

「それが何かわかればいい、立体感やリアルさは要らない」と思ってみる

立体的に描かなきゃとか思わない。リアルにしなくていい。遠近法とか、ここがこの形なのはおかしいとか、色々色々思わない

それが「人」だとわかればいい。「猫」だとわかればいい。「花」だとわかればいい。

私は昔、ドールハウスが好きで作品を見に行ったり、自分でもちょこっと作ったりしたことがあるんです。そのとき自分の融通のきかなさを実感しました。正確に、正確に大きさが縮小されていないと興ざめしてしまうというか、その世界に入れない自分に気がついたのです。

部屋に家具や小物が飾られている作品を見るときに、「ちょっと食べ物デカすぎる…」とか「ここ狭すぎて通れないよね…」とか、そんなことが妙に気になってしまうんです。想像力で補うという能力に欠けているんです。想像力がないんですね

自分で作品を作ったときも、実際の小物を図って12で割ってその通りに粘土を切って、歯みがきチューブとかの小物を作りました。

絵を描く時も、無意識にこんなことを思っているせいで、「3Dの下地が欲しいな」とか余計なことを考え始めて、描くことへの心のハードルが上がってしまっていました。

自分が何を求めているのか、よくわかりませんが、そのわからないものを捨てなくてはなりません。

たっぷり時間をかけていい。資料調べや下描きに。

サラサラと描かなくていい

上手い人はサラサラ~っと10分くらいで絵を仕上げちゃう、みたいな印象がありますけど…

べたべた描いていいんですよ。いつまで描いててもいいんですよ。

情報量が多ければその絵は楽しい

私は、一枚の絵にいっぱい色んなものが描き込んであるのが好きです。すみからすみまで眺めるのが楽しいし、その世界に遊べるし、「描くのも楽しかったんだろうなー」と思えるし。情報量って大きな魅力だなって思います

それなのに自分は情報の詰まった絵をほとんど描いたことがないんですよね…。途中でやめちゃうんです。

途中でやめちゃったやつ

描く前に「あの絵みたいな感じ」といった曖昧なイメージだけを持って(あるいは何も持たず)、いきなり描き始めるものだから、目的地がわからないし、「あの絵」みたいなすてきな雰囲気になるはずもなく、ヘンテコになって途中でどうでもよくなります…

要するに、しっかり準備をして絵に取り組むということがほとんどなかった、ということです。

私が何も見ないで描ける絵っていうのは密度がスカスカで、しかもいつも同じにしか描けないんです。頭の中にイメージのストックがなさすぎて、たぶんそれも自分の能力のなさのひとつだと感じてしまうんです。違うんだよ、よしよし。

色んなものをいっぱい絵に盛り込もうと思ったら、資料をたくさんあたって、十分にイメージの準備をしておく必要があるんです。

描きやすい形を作る

様式化してみる

つい最近の事なんですが、古代エジプトの絵の様式化のしかたってすごいなって気づきました。

顔は横顔、目は正面、肩も正面、足は横向き。厳密にではないですが、こういう様式で絵が描かれてます。きっちり様式化されてます。絵と記号がいい感じに混ざったような

これって、シルエットにしたときにとても形がわかりやすいですよね。

きっちり様式化されてるので、心地よい非現実感を感じます。曖昧にごまかして描いたりしていないし、ただ繰り返される様式が気持ちよい

鉛筆でなぞってみた1

それに、ある程度の決まった形の組み合わせでいろんなポーズを作るから、描くのも描きやすい。もしかして、絵の訓練をしていない人でも描けるように考えられているのかもしれないと思います。ここにはありませんが、奥行きは「重ねる」ことで表現されているようです。これも描きやすい、わかりやすい。

鉛筆でなぞってみた2

古代エジプトの絵を見ても、人体としておかしいとか不自然だとかはたいして気にならないですよね。人間の感覚ってこのへんはおおらかに受け入れることができるんだと思います。ドールハウスや3Dであんなに融通のきかなかった私も古代エジプトの絵はすんなり受け入れられます。なぜ…。

たぶん、様式化の力なんだと思います。二次元の絵ってきっとすごく寛容なんです。大きな心で受け入れてくれるんです。

鉛筆でなぞってみた3

そして。

これに気づいた後にあらためていろんなイラストを見てみると、とてもたくさんの人が自分なりの様式化をしているらしいと、今更ながらに気づいたのです。

様式化。自分の形を作る。これって、必須科目だったんですね…。

面白い形にしてみる

せっかくなら、あまり本物の形にとらわれない、描きやすい形にしちゃうといいかも!と思います。描いてて面白い形に。楽しく描ける形に。気持ち良い形に。

それが何なのかわかればいいんですから。

すでにある形を採用してみる

単純化された形はすでに世の中にたくさんあふれています。かわいいイラストのかきかたとか、マンガとか、ピクトグラムとか、ネット上でたくさん見ることのできるイラストとか。

これらはとっても参考になります。汎用的な形ならそのまま使えるかもしれないし、作品として確立されているものだったら、そのまま使わずに、自分の形を作るための試案としてみるといいかもです。

形を紙に置いていく

ジオラマを作るみたいに、空想しながら置いていく

一枚の絵にたくさんのものが描き込まれているものは、下描きで十分に計画が練られているんだと思います。

何を描くか、どこに描くか、ここにいる人は何をしているのか、物語はどう盛り込むか

ミニチュア模型をたくさん置いてジオラマを作るみたいに大きな絵を作るのが、私がやってみたいことなんです。そのための模型、つまり様式化したカタチをたくさん用意する必要があるんです。

でも、なかなか手を付けられなかったんです。心の「かせ」が取れなくて。でも古代エジプトの絵をきっかけに、やっと手を付けられそうな気がしています。

コピーをとっておけば、色塗りで失敗しても大丈夫

私は色付けがたいへん苦手で、センスのかけらもないのですが、デジタルで描いているなら要所要所で複製を保存しておくのが安心だと思います。やり直し回数でまかなえないくらいに過去に戻りたいときが多々ありましたし…

それに複製があれば、トーンで漫画風にしたり、セピア色にしたり、水彩風にしたりクレヨン風にしたりと色々試せます。

色は自分でひねり出すよりも、配色の書籍でいいやつを使うと良いと思います。自分で絶対に思いつかないような配色が載っていて脳に刺激が行きます。他にはやはり、良い作品を参考にするとか。いい雰囲気の写真から色を拾ってみるとか。

まとめ

私自身、この記事を書きながら自分の気持ちを探ったりしてみたわけなんですが、まあまあ、こんな感じなんだと思います。

そして「こうすればいいんじゃないか」と思うことを色々書きました。私もこれからこのようにやろうと思っています。

様式化はとても大事、必須科目なんだということもわかりました。

長い間、なんとかして絵が描けるようになればと思っていましたが、この記事が私自身の助けになってくれることを祈るような気持ちでおります。

おかしな記事になってるかもしれませんが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人
たまに、加賀 一
そだ ひさこ

子ども時代はもちろん、大人になっても昔話好き。
不調で落ち込んでいた30代のある日。記憶の底から突如、子ども時代に読んだ昔話の場面がよみがえる。その不思議さに心を奪われて、一瞬不調であることを忘れた。自分は昔話で元気が出るんだと気づいた。

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