もうちょっといってみよかな。
てことで、前記事「六人の家来」の次「山男」。(小学館文庫『1812初版グリム童話〈下〉 (小学館文庫)』グリム兄弟・乾由美子訳 より)
山男
山男は塔に閉じ込められ、城主の息子の毬が塔の中に飛び込んでしまう
三本足の馬
困った、イメージが拾えない・・・
それにもっと困ったことに、どこが面白いのかわからない・・・
この話は、
魔法で山男にされたやつがおる
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その山男が貴族の城の塔に閉じ込められる
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城の城主の息子が山男を塔から出す
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山男が息子を連れ去る
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山男が息子を宮殿のお姫さまに見そめさせる
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姫はこっそり息子と結婚する
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姫の父は怒って姫を小屋に追いやる
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戦争が始まり、姫の父は戦地へ行く
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息子は山男の力で立派な格好で戦地へ行き、姫の父の手助けをする(正体を隠したまま)
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再び、息子は山男の力で立派な格好で戦地へ行き、姫の父の手助けをする(正体を隠したまま)
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三回目、息子は山男の力で立派な格好で戦地へ行き、姫の父の手助けをする(正体を隠したまま)が、今度はそのために腕を怪我してしまい、姫の父がその手当てをする
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帰国後、その腕の傷で息子の正体がわかる
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姫の父は不当な扱いを謝罪し、全ての財産を息子にゆずる
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山男の呪いがとけ、立派な王の姿に戻り、山も城に戻る
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息子と姫はその城で暮す
というような話なのですが、
どうして山男の魔法がとけるのか、
話の中で主人公としての運命をたどっているのは息子だと思われるのに、なぜタイトルが山男で、魔法がとけるのか、
男性版「灰かぶり」だという注釈によれば、ますます主役は息子だと思われるのに、
わからん。。。
いや、実際主役は息子で、山男は「助手」の役目なのだが、話を特徴づけるために冒頭と終末に登場しタイトルにもなっているということではないだろうか。
それでも、どうして魔法がとけるのか、どうして山男は魔法がとけなくてはならないのか、山男になるというのはいったい何の罰なのか、山男っていったい何なのか。
もし山男がこんなんだったら、山男は山男でいいんじゃないの? 山男はなかなかチャーミングだよ。と私は思う。
で、この話の昔話らしい部分はというと
普段は粗末な格好の主人公が、別人のように素晴らしくなって別の場所へ行き、ターゲットに認められる「あれは誰だ!」
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再び、普段は粗末な格好の主人公が、別人のように素晴らしくなって別の場所へ行き、ターゲットに認められる「あれは誰だ!」
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三回目、普段は粗末な格好の主人公が、別人のように素晴らしくなって別の場所へ行き、ターゲットに認められる「あれは誰だ!」。そして自分が主人公であるという証拠を残す
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もとの場所で粗末な格好でいる主人公が、別の場所で残した証拠によって「あれは誰だ!」であると認知される
という部分ですよね。男性版「灰かぶり」という意味もよくわかります、灰かぶりそのものです。
これ、山男は山男のままにして、もっと拾えるイメージのある話にしてみたい。
ということで頑張ります。
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昔話の特徴などについては、別サイトの「昔話の様式ってこんな感じ」、「文献を自分なりに解釈してみた」にも書いています。
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2021.12 追記
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