【おにぎりみたいなお話作り】コントラスト

ある事柄を印象づけるのに、コントラストという方法があります。またいばら姫で申し訳ないのですが、いばら姫の誕生を祝う宴会の場面です。
【…王さまは、お城に金のお皿が十二枚しかなかったので、十三人いる仙女のうちの十二人しか招かなかった。十二人の仙女は次々に素晴らしい贈り物をした。そして十一人目が贈り物をし終わったそのとき、招かれなかった十三人目の仙女が突然現れて、いばら姫に死の呪いをかけた。幸いな事にまだ十二人目が贈り物をしていなかったので、死の呪いを百年の眠りに変えた。…】
十二人と一人。十二人という全体の中で、たった一人のはずの十三人目の仙女がとても目立っています。十三人目の招かれなかった仙女の印象は強烈です。
いばら姫が呪いをかけられるというエピソードが、十三人目の仙女という人物を使う事でたいへん印象深くなっています。あるいは、呪いをかける人物を印象づけるために「十二人対一人」というコントラストを使ったのかもしれません。

『たくさんの中のひとつを印象づけるコントラスト』は、「国じゅうのつむを焼き払ったはずなのに、ひとつだけ残っていた」や「今までに九十九人の若者が謎を解けずに命を落とし、この若者が百人目の挑戦者だ」など、探せばいくらでも見つかります。
『そのひとつがきわだっている』ことは、聞き手のイメージを助けてくれます。

もうひとつ、「まねを失敗する」というコントラストがあります。【はじめに主人公が良いことをして宝を手にいれ、それを見た隣の欲張り爺さんがまねをしようとするがうまくいかずにひどい目にあう】というお話は日本にたくさんあります。
グリム童話には【姉妹のうち一人が真面目で働き者であるために素晴らしい報酬が与えられ、もう一人の怠け者にはとんでもない報酬が与えられる】というお話があります。

いずれも二人目のエピソードは一人目の主人公を引き立たせるためのものであることがわかります。一人目のお話だけで聞き手はすっかり主人公の気持ちになっているので、二人目のエピソードを聞き手は緊張する事なく聞く事ができ、しかも少々優越感を持っていい気分で聞いていられるのです。

2013.6.14追記

昔話の特徴などについては、別サイトの「昔話の様式ってこんな感じ」、「文献を自分なりに解釈してみた」にも書いています。

この記事を書いた人
たまに、加賀 一
そだ ひさこ

子ども時代はもちろん、大人になっても昔話好き。
不調で落ち込んでいた30代のある日。記憶の底から突如、子ども時代に読んだ昔話の場面がよみがえる。その不思議さに心を奪われて、一瞬不調であることを忘れた。自分は昔話で元気が出るんだと気づいた。

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