小冊子を作ることは、意外と身近なことになっているのかもしれない

プリンタの「色々やってくれる親切さ」に驚く

先日、インクジェットプリンターを買い換えました。それまで使っていたプリンタが古かったせいもあるのでしょうが、今どきのプリンタの多機能ぶりにちょっとびっくり。

まず、両面印刷を自動でやってくれます!
今までのように、片面の印刷が終わったらプリンタのところへいって用紙をひっくり返して再度印刷…ということをしなくても、一度印刷ボタンを押せばプリンタさんがちゃんと両面に印刷をして仕上げてくれるんですよ。

それから、割付印刷。二枚(あるいは四枚)の書類を、一枚の用紙の片面に縮小割付して印刷してくれます。

そして割付印刷と自動両面印刷を組み合わせた「用紙節約印刷」という指定もできます。普通なら四ページ分にもなる書類を用紙節約印刷すれば、用紙一枚の裏表で済んでしまいます。
今までのプリンタでもソフト側の印刷設定で割付をしたり手動で両面印刷したりすればできないこともなかったけど、多少の面倒を伴うものだったので「設定を選んで印刷ボタンを押すだけ」の手軽さはホントにありがたい。

「小冊子印刷」の割付と印刷もボタンひとつで済む

そして私がいちばんありがたいと思ったのは、なんといっても「小冊子印刷」。小冊子印刷というのは、印刷し終わった用紙を中綴じの冊子にできるように「ページを入れ替えて割付印刷」をすること。

ひじょうに下手な絵で申し訳ないのですが(図は横書きの場合)、中綴じは、紙を半分に折って重ねて折り目のところをホッチキスなどでとめるという製本方法。開きやすくて扱いやすいし体裁もいいのだけれど、中綴じにするためにページの順番を入れ替える必要がでてきます。
ソフトの設定でそのように印刷してくれる場合もあるけれど、そういうソフトを持っていて、なおかつそのソフトで扱える書類でなければならないという制限があります。

ページの入れ替え印刷ができないときにはあきらめて「片側ホチキス留めの平綴じ」にするか、他の方法を考えなければなりません。

ところが。プリンタが小冊子印刷をしてくれるということの利点は、ソフトはなんでもいいということ。メモ帳(Windowsについているテキストエディタ)でもウェブページでも小冊子印刷できます。こんなに簡単ならメモ帳で長い原稿作って小冊子印刷してリトルプレス作れるなあ、なんてことを考えたほど。

印刷範囲を16ページずつ指定して小冊子印刷すれば、糸綴じで製本ができる

以前にAdobeReaderで小冊子印刷ができることがわかったときも、たぶん思いつかなかったんだろうな…と。印刷範囲を16ページずつ指定して小冊子印刷すれば、糸で綴じるための一折が作れることが。

中綴じは印刷さえできれば簡単にきれいに製本できるけれど、ページ数の多い本には不向きです。その場合は無線綴じ(背を接着剤で固める製本方法)などにすることが多いようだけれど、私は糸綴じを選びたい。糸綴じは用紙4枚分(16ページ分)を一つの単位(折丁)として、いくつもの折丁を糸で綴じ合わせます。面倒なことは嫌いだけれど、一度糸綴じをやってみてページ開きの良さ・しなやかさを経験した身としては、背を接着剤で固めるなんていうことはあんまり気が進まないのです。

かといって、いくら本文を糸で綴じてもそれで終わりというわけではなく、この後には表紙をつける作業が必要です。一般的にはハードカバーを作って糊付けするという工程が。しかし、「面倒なことは嫌い・ハードカバー製本は糊付けに失敗したら今までの苦労が全部台無し」という高いハードルが、私を手工芸的手製本から遠ざけるのです。糊付けのプレッシャーは本当に嫌い(笑)。
そんなわけで、糸綴じ本の制作には、こちらの糸だけ製本を参考に製本をしてみようと考えています。(リトルプレスではなく、自分の作品をまとめて手元におくために。リトルプレスは中綴じを予定しています。)


今回の記事のタイトルにもしましたが、私のような古い人間がぼさっと暮らしている間にプリンタさんが進化していて、苦労せずに冊子のかたちを作れるようになっていたことにちょっとした感動をおぼえました。
文章作品をプリントアウトして冊子のかたちで保管する、写真をwordでレイアウトしてプリントして冊子の形で保管する、そんなことが今は普通のことなのかもしれないと思う初秋でした。

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この記事を書いた人
たまに、加賀 一
そだ ひさこ

子ども時代はもちろん、大人になっても昔話好き。
不調で落ち込んでいた30代のある日。記憶の底から突如、子ども時代に読んだ昔話の場面がよみがえる。その不思議さに心を奪われて、一瞬不調であることを忘れた。自分は昔話で元気が出るんだと気づいた。

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