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「贈り物の卵」

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贈り物の卵

昔々、青年がひとりおりました。
青年は町の港に金の船を持っていました。
ところがある日、船に乗ろうとした青年は強盗に襲われて、海に突き落とされてしまいました。
それを見ていた町の娘は青年を海から助け上げました。強盗は町の人たちに捕えられました。

青年は娘におれいをしようとしました。
しかし、たくさんの宝石も、たくさんのお金も、たくさんの豪華なドレスも、娘は欲しがりませんでした。
青年は娘に何をあげたら喜んでくれるのかとたいへん悩みました。
すると青年の前に突然ガチョウが現れて、卵をひとつ産み落とし、青年に言いました。
「この卵は贈り物の卵だよ。この卵には娘の願い事が入っている。この卵を娘が割れば、それが出てくる。これなら娘は必ず喜ぶよ」
青年が卵を受け取ると、ガチョウはどこかへ去って行きました。

青年は卵を自分の船に隠しました。そして、娘のところへ行き、言いました。
「僕の船に乗って、美しい島を見に行きましょう。命を助けてくれたおれいです」
娘は、それなら喜んで、と言って、青年と一緒に港にやって来ました。
青年は、島に向かう船の中で、娘に卵を渡すつもりでした。
ところが、ふたりが港に着いた時、急に空が曇り、風が吹き、大嵐がやって来ました。
そして嵐の波は、あっという間に金の船を港から引き離し、どんどんと沖へさらって行きました。
ふたりは港にとり残されてしまいました。

卵をのせた金の船は嵐の海で、大きな氷山に何度もぶつかりそうになり、船体にはたくさん傷がつきました。しかし、なんとか沈まずに、氷山の群れの中を抜ける事ができました。
次に金の船は、海賊の船に見つかってしまいました。海賊たちは金の船に乗り込んで、ありとあらゆる物を盗んで行き、船にはり付けてある金まで剥がして行きました。しかし、船の中の卵は海賊たちに見つからずにすみました。
次に金の船は、大きな渦潮のそばを通りました。渦潮は金の船を何度も引き寄せようとしましたが、しかし、金の船はなんとか渦潮につかまらずに進む事ができました。

そして、三年の月日が経った後、卵をのせた金の船は、町の港に戻ってきました。町じゅうの人が港へやってきて、戻ってきた船を見ました。金の船はもうぼろぼろでした。
青年は船に乗り込むと、隠しておいた卵を探しました。すると、卵はちゃんと、そこにありました。青年は娘に卵を渡しました。そして言いました。
「さあ、娘さん、この卵を割ってください」
娘は卵を受け取り、訳も解らぬまま、卵を割りました。
次の瞬間、港にいた皆が歓声をあげました。なんと、さっきまでぼろぼろだった金の船が、元通り、美しい金の船に戻っていました。娘の願いは、あの日青年が言ったように、ふたりで美しい島を見に行く事だったのです。

青年はさっそく娘と一緒に美しい島へ行きました。そしてふたりは、美しい島で結婚式を挙げ、いつまでも幸せに暮らしました。めでたし、めでたし。

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