キンドル本をKindle Unlimited で読んでいただけます

Amazonで販売している電子書籍「三十一郎(みそいちろう)」を、KDPセレクトに登録しました。
Kindle Unlimited にて、無料でお読みいただけます!

商品ページはこちら

「宝の雲」

スポンサーリンク

宝の雲

 昔々あるところに、お爺さんがひとりおりました。お爺さんはもう長いこと生きて、毎日一生懸命働いてきました。
 ところがお爺さんは、ある年の大晦日に、ふと、こう思いました。
「来年は、ひとつ、怠けて暮らしてみよう。今まで一日も休まず働いてきたのだから、たまには良いじゃろう。」
そして、正月の支度をすっかり済ませてしまうと、布団を敷いて、横になりました。そして、明日からはどんな面白いことをして過ごそうかと考えました。しかし、今まで働いてばかりいたので、働かない日にどんな面白いことをすれば良いのか、お爺さんにはさっぱりわかりませんでした。思いつかないまま夜も更けて、お爺さんは眠ってしまいました。

 お爺さんはその夜、夢を見ました。お爺さんは夢の中で、縁側に座って雲を眺めていました。すると雲の上から美しい天女が現れて、お爺さんのところにふわふわと降りてきました。そして、にこにこしながらこう言いました。
「おほほほほ、おほほほほ。お爺さん、あの雲をつかまえてご覧なさいな。それができたら、宝物が手に入りますよ。おほほほほ、おほほほほ。」
そして、また雲の上にふわふわと帰って行きました。

 次の日、お爺さんは縁側に座って、昨夜見た夢を思い出していました。するとそのとき、縁側に小鳥がコトンととまりました。小鳥は口にきれいな縄をくわえていました。そして、その縄をお爺さんに渡しました。そして、
「オホホホホ、オホホホホ!」
と鳴きました。お爺さんはびっくりして、小鳥をよく見ました。すると、小鳥の顔が、夢の中の天女のように、にこにこと笑っていました。これはなんと珍しい鳥じゃ、とお爺さんは思いました。
 すると小鳥は、お爺さんの持っていた縄の端をくわえると、ぱたぱたと空を昇って行きました。縄はどんどん長く伸びて、ついに雲まで届いてしまいました。すると小鳥は、その縄をくわえたまま雲のまわりをくるくると飛びまわり、雲に縄を結わえ付けてしまいました。お爺さんが縄の端をくいくいと引っぱると、雲はふいっふいっと愉快に動きます。お爺さんは雲の動くのが面白くてたまらなくなり、一年中そうして遊んでいました。そしてその年の大晦日になったとき、お爺さんはふと思いました。
「あの雲の中には、もしかしたら本当に宝物があるんじゃろうか。しまった、早く引き寄せて、確かめなくては。」
しかしそのとき、一年経ってすっかり古くなっていた縄が、プツンと切れてしまいました。宝物の入った雲は、風に乗って流れて行き、やがて見えなくなってしまいましたとさ。

コメント

  1. りぶ より:

    うわああああ、、
    残念すぎ。ホント残念すぎ。
    宝くじの2番違いより残念すぎ(あたり前)
    でもおじいさん1年間愉しんだのだからいいのかな。
    でも残念、、(まだ言うか、、

  2. 久子 より:

    はじめはちゃんと宝物を手にする話を考えていたんだけど、途中でちょっといぢわる心が生まれてしまいまして。
    もしこんな話をどこかで聞かされたら、私もきっとりぶさんと同じ反応をすると思うよー。悔しくて泣くかも(笑