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「壺の中の魔法使い」

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壺の中の魔法使い

 昔々。広い海のまん中に、タコの町がありました。タコの町では、たくさんのタコたちが、楽しく暮らしておりました。
 あるとき、タコの町に、大きな壺が落ちてきました。タコたちはみな壺のまわりに集まって、これはいったい何だろうと言いました。そして、ぞろぞろと壺の中に入り込み、壺を調べ始めました。
 大きな壺の中には、小さな壺が入っていました。小さな壺にはしっかりフタがしてありました。タコたちは、大きな壺から小さな壺を運び出し、皆で、この壺のフタをあけてみるべきかどうかと話し合いました。
「フタを開けてみるべきだ。」
「いや、開けるのはやめるべきだ。」
いつまでたっても、話し合いはまとまりませんでした。
 そのとき急に、小さな壺がぐらぐらと揺れ出しました。タコたちは驚いて、小さな壺からさーっと離れました。すると、小さな壺のフタが、ぽきゅん、と飛んで、壺から外れました。そして壺の中から、迷惑な魔法使いが現れました。魔法使いは、驚いているタコたちに魔法をかけてしまいました。タコたちはみんな、魔法のせいで、体がぐんぐん大きくなりました。くじらよりも大きくなり、それから山よりも大きくなり、それから大陸よりも大きくなり、それから、それから…
 ついに、七つの海が、大きくなり過ぎたタコの村のタコたちで埋まってしまいました。海は今や、タコとタコの間に海の水がちょっぴりあるだけで、あふれた海の水は陸にどんどん流れて行きます。タコたちは身動きができないし、陸にいた人や動物達は、泳いだり船に乗ったりして暮らさなくてはならなくなりました。困った皆は、大きくなったタコたちを小さくする方法を一生懸命考えました。しかし、誰もそんな方法を思いつくことはできませんでした。
 すると、あの迷惑な魔法使いが現れて、得意そうに言いました。
「ひとつだけ方法があるよ。私が魔法をかけてタコたちを大きくしたのだから、私がもう一度魔法をかけて小さくすればいいのさ。」
皆は驚きました。そして、この悪い魔法使いめ、と心の中で思いました。しかし、タコたちを元の大きさに戻すには、この魔法使いに頼るしかありません。皆はこっそり相談して、魔法使いに見つからないように、大きな壺と小さな壺を持ってきました。そして魔法使いが得意そうに魔法をかけ終わって、タコたちがすっかりもとの大きさに戻ったとき、皆は魔法使いを小さな壺の中にぎゅうっと押し込めて、しっかりフタをしてしまいました。そしてそれを、毒薬を満たした大きな壺の中に沈めてしまいました。
 魔法使いは、小さな壺から出ることができず、今でもそこで暮らしているのだそうです。おしまい。

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