「カエルの王子さま」

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カエルの王子さま

 昔々あるところに、たいへん美しい王子がいました。
 王子はあるとき、森を散歩したくなりました。そしてひとりで森に行きました。しばらくあるくと、きれいな泉がありました。泉からは不思議な歌声が聞こえるような気がしました。王子は泉に近づくと、泉に湧き出ている冷たい水をひとくち、こくん、と飲みました。
 すると、突然目の前に魔女が現れて、王子に言いました。
「この水を飲んだお前を、みにくいカエルに変えてこの森から出られなくしてやる!」
 そして王子は大きくてみにくいカエルの姿になってしまいました。王子は魔女の魔法がかかった泉の水を知らずに飲んでしまったのでした。

 王子は「どうか私をたすけてください」と魔女に何度も頼みました。魔女は、ふん、と鼻をならして言いました。
「ではいいかい、よく聞くがいい。もしもどこかのお姫さまがこの森へやってきてお前を見つけ、そしてみにくいカエルのお前を自分の城に連れて帰り、みにくいカエルのお前と同じ皿で食事をし、みにくいカエルのお前を自分の寝床に寝かせてくれたら、そのときはお前はもとの美しい王子にもどることができるよ。そんな奇特なお姫さまがこの世にいるとは思えないがね!」
 そして気味の悪い笑い声を残して、魔女の姿はどこかへ消えてしまいました。カエルの王子は、ひとりで森から出ることができなくなってしまいました。
 そして、三年がたちました。

 あるとき、美しいお姫さまがこの森を通りかかり、道に迷ってしまいました。カエルは、困っていたお姫さまに言いました。
「お姫さま、わたしが森から出る道を教えてあげます。そのかわり約束してください。私をあなたのお城に連れて帰り、私と同じお皿で食事をし、私をあなたの寝床に寝かせてくれると。」
 お姫さまは少しためらいましたが、カエルをそっと持ち上げると言いました。
「わかったわ、あなたを一緒に連れて帰ります。だから森から出る道を教えてちょうだい」
 カエルはお姫さまに道を教えました。お姫さまは森から出ることができ、カエルも一緒にお城に行きました。
 ところが、お姫さまはお城に着くと、お庭の池にカエルを放しました。そして、食事の時も夜眠るときも、カエルは池に置き去りにされたままでした。
 カエルはその日の真夜中、魔女の魔法で森に戻されてしまいました。
 それからまた三年がたちました。

 あるとき、今度は別のお姫さまが森を通りかかり、道に迷ってしまいました。カエルは、困っていたお姫さまに言いました。
「お姫さま、わたしが森から出る道を教えてあげます。そのかわり約束してください。私をあなたのお城に連れて帰り、私と同じお皿で食事をし、私をあなたの寝床に寝かせてくれると。」
 お姫さまは少しためらいましたが、カエルをそっと持ち上げると言いました。
「わかったわ、あなたを一緒に連れて帰ります。だから森から出る道を教えてちょうだい」
 カエルはお姫さまに道を教えました。お姫さまは森から出ることができ、カエルも一緒にお城に行きました。
 お姫さまはカエルを連れてお城の中に入りました。そして食事の時間になると、カエルを自分のそばにすわらせて、自分のお皿の食べ物をカエルにわけてあげました。そして夜には、カエルを自分の寝室へ連れて行きました。
 しかしお姫さまは、部屋の隅っこに椅子を置き、椅子の上に布を敷いて、その布の上にカエルを寝かせました。そして自分はいつものように自分の寝床で眠りにつきました。
 カエルはその日の真夜中、魔女の魔法で森に戻されてしまいました。
 それからまた三年がたちました。

 そしてあるとき、また別のお姫さまが森を通りかかり、道に迷ってしまいました。カエルは、困っていたお姫さまに言いました。
「お姫さま、わたしが森から出る道を教えてあげます。そのかわり約束してください。私をあなたのお城に連れて帰り、私と同じお皿で食事をし、私をあなたの寝床に寝かせてくれると。」
 お姫さまは少しためらいましたが、カエルをそっと持ち上げると言いました。
「わかったわ、あなたを一緒に連れて帰ります。だから森から出る道を教えてちょうだい」
 カエルはお姫さまに道を教えました。お姫さまは森から出ることができました。ところがお姫さまは森から出るとすぐに、カエルをポイとその場に放り出して、お城に向かって歩き出しました。カエルは驚きましたが、必死でお姫さまを追いかけ、お姫さまのきれいな服のすそにピョンとしがみついたので、そのままお姫さまのお城まで来ることができました。

 食事の時間になると、お姫さまはテーブルにつき、美味しいお料理を食べ始めました。お姫さまの服のすそにしがみついていたカエルは、ピョンとテーブルの上に跳び乗りました。そしてお姫さまのお皿の食べかけのお料理をペロリと呑み込んで、言いました。
「お姫さま、私は森であなたに道を教えました。だからあなたは私との約束を守ってくれなくてはなりません。さあ、私をあなたの寝床に寝かせてください!」
 同じテーブルで食事をしていた王さまとお后さまは大変驚きました。お姫さまは仕方なく、今日森で道に迷ってカエルに助けてもらったことを王さまに話しました。すると王さまはお姫さまに言いました。
「お前はなんてばかな娘なんだ。はやくそのカエルを連れて自分の寝室へ行きなさい、そしてそのカエルをお前の寝床に寝かせてやりなさい、さあ!」

 お姫さまは怒ってカエルをつかむと、自分の寝室へずんずんあるいて行きました。そして扉を開けて中に入ると、乱暴に扉を閉めました。カエルは言いました。
「さあ、はやく私をあなたの寝床に…」
 カエルが言い終わらないうちに、怒っていたお姫さまはカエルをありったけの力で壁にビュッと投げつけました。カエルはビチャッと音を立てて壁にぶつかりました。かわいそうに、カエルは息が止まりそうになりました。そして、身体をピクピクとけいれんさせながら、ポサリとお姫さまの寝床の上に落ちました。
 すると次の瞬間、カエルはもとの美しい王子の姿に戻りました。お姫さまの寝床の上でようやく魔女の魔法が解けたのです。お姫さまはたいそうびっくりしましたが、すぐにこの美しい王子を好きになりました。そして同じ寝床で朝まで眠りました。

 朝になって美しい王子さまがお姫さまと一緒にあらわれたとき、王さまもお后さまもたいへん驚き、そしてたいへん喜びました。そして二人の結婚を許しました。
 今でも二人は、お姫さまのお城で幸せに暮らしているそうですよ。

タイトルでおわかりだと思いますが、グリム童話の「蛙の王さま」がもとになっています。

あのお話がよくわからなくて、「どうしてあんなひどいお姫さまと幸せになるんだ」とか「どうして壁に投げつけられたのに呪いが解けるんだ」とか思い続けていました。しかもグリム童話の注釈には「ドイツではもっとも古くもっとも美しいメルヒェンの一つ」とか書いてあるらしいし。納得がいかん。参考:『1812初版グリム童話〈上〉 (小学館文庫)

でも、色々考えつづけていたある日ふと、自分なりの答えが出ました。おー、すっきり。記念に(?)その答えを使って少し作り直してみたのがこのお話です。

コメント

  1. のこ より:

    そうでしたか どこかで読んだ覚えがあるような気がしてなりませんでした
    ものすごく複雑なデ・ジャブー??なんて思った私って・・・。

  2. 久子 より:

    あはは うーんこれはたぶん創作とは言えんね(汗