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いつも同じ数や色(場面を思い浮かべやすくする工夫)

 昔話にはいつも同じ数字や同じ色が出てきます。三、七、十二、百、とか、赤、金、銀、とか。
 あまり「覚えよう」と意識しなくても自然に覚えていられるものが使われています。そうでないと、覚える事に気を取られて、話に集中できません。とくに聞くお話の時は、ページを戻って確かめる事はできないので、聞き手に負担をかけないための工夫は大事だと思います。

 (余計な話ですけれど、あの三億円事件がもしも、二億九千六百万円事件とかだったら… 金額は大して変わらないのにその事件が記憶に残る確率は下がるのではないかなあ、と、思いませんか?)

 このほかにも、場面を思い浮かべることや、楽しい美しい場面をつくることを助ける工夫が昔話にはたくさんあります。
 婚約者に贈り物をする場面を示して特別な関係をはっきり印象づけたり、悪役がすぐにそれとわかる姿をしているなど、視覚的に話をわかりやすくする工夫もそのひとつです。
 それから、リアルなものやイメージしにくい概念のかわりに、印象的なもの、象徴的なものが使われていたりするのもそれではないかと思います。
 クルミの殻にドレスをしまって大切に持っていたりというような場面は、美しさと不思議さからとても心に残りますし、イメージすることがとても楽しいお話です。
 また「謎かけ姫に求婚に来る若者が皆失敗して命をなくす、それくらい姫の謎は難しいのだ」ということを印象づけるために、姫の城が求婚者のどくろでできているという象徴的な場面が述べられます。これはけっして面白半分の怪奇趣味ではなく、お話をわかりやすくする工夫なのだと思います。

 昔話のそういう事柄に対して、「深層心理学的にこれは~という意味があるのだ」というような解釈がたくさんありますが、この中で、あらゆる細かな事柄までをも意味付けて解釈してしまうようなものには私は無理を感じます。

 むしろ、聞き手に印象づけたり、話をわかりやすくするためにそれを用いたという簡単な理由の方がすんなり受け入れられる場合も多いのではないかと思います。
 昔話は『聞き手のイメージにお話の世界を任せてしまう、委ねてしまう』、そういうお話でもあるような気がします。

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