【作品_】こどものはなし

こどものはなし

昔々あるところに、こどもがひとりおりました。
ある日。
お昼の時間に、こどもはお弁当箱を開けました。
お弁当には、ゆで卵が入っていました。
こどもは、ゆで卵が苦手でした。
こどもは、ゆで卵を残して、他をきれいに食べました。
そしてお弁当箱に蓋をして、お昼の時間を終えました。

次の日。
お昼の時間に、こどもはお弁当箱を開けました。
お弁当には、ゆで卵が入っていました。
こどもは、ゆで卵が苦手でした。
こどもは、ゆで卵を残して、他をきれいに食べました。
そしてお弁当箱に蓋をして、お昼の時間を終えました。

またその次の日。
お昼の時間に、こどもはお弁当箱を開けました。
お弁当には、ゆで卵が入っていました。
こどもは、ゆで卵が苦手でした。
こどもは、ゆで卵を残して、他をきれいに食べました。
そしてお弁当箱に蓋をして、お昼の時間を終えました。

そのあとも毎日、こどものお弁当には、ゆで卵が入っていました。
こどもはずっと、ゆで卵が苦手でした。
こどもはずっと、ゆで卵を残して、お昼の時間を終えました。

でも、こどもはちゃんと、大人になりましたよ。
そして大人になったら、ゆで卵もおいしく食べられるようになったのだとさ。
めでたし、めでたし。

*  *  *

この記事を書いた人
たまに、加賀 一
そだ ひさこ

子ども時代はもちろん、大人になっても昔話好き。
不調で落ち込んでいた30代のある日。記憶の底から突如、子ども時代に読んだ昔話の場面がよみがえる。その不思議さに心を奪われて、一瞬不調であることを忘れた。自分は昔話で元気が出るんだと気づいた。

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